2018 年 23 巻 2 号 p. 27-32
事例は13歳齢、7.3kgの肥満の糖尿病猫であった。糖尿病コントロール不良を主訴に来院し、その後、糖尿病療法食への変更と減量を目的に動物看護介入を行った。本事例の動物看護上の問題点として、1)嗜好性の問題で療法食を食べない可能性がある、2)飼い主への減量指導が計画通りにいかない可能性がある、の2点を挙げ、動物看護実践では、減量プログラムと糖尿病日記を作成し、飼い主への減量指導を行った。食事嗜好性の高い本事例に対しての食事の変更は十分な時間を設けて行い、食事の変更期間である4週目には自力で療法食のみを摂食できるようになった。また、毎週の体重測定記録によって現状とゴールを明確にし、2年半かけて減量に成功した。減量プログラムおよび糖尿病日記の作成は、飼い主とのコミュニケーションを円滑に執り行うためのツールになっただけでなく、具体的な数字の提示や、グラフや写真を適切に用いることで、飼い主の減量への意欲を保つことができた。