Veterinary Nursing
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尿管皮膚瘻造設術を実施したイヌに対する周術期看護の1例
宮部 真裕佐伯 香織清水 夕貴和田 優子石川 弥咲星 史雄前田 憲孝山添 和明大西 章弘浅沼 武敏久楽 賢治神田 鉄平
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2019 年 24 巻 2 号 p. 31-35

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抄録

尿管皮膚瘻造設術は、下部尿路癌の症例に対して膀胱および尿道全摘出と同時に実施され尿管を包皮粘膜や腹部の皮膚に移設する術式である。術後は不随意排尿を避けられず、尿管開口部やその周辺組織での尿やけといった症状を含む湿性皮膚炎や炎症、二次感染による腎盂腎炎、尿管開口部の再閉塞が生じる恐れがある。下部尿路癌疑いと診断された事例動物は、14歳6ヶ月齢のワイヤーフォックステリア、未避妊、体重は6.5kgでBCSは4/9であった。尿管皮膚瘻の形成後には、持続的な不随意排尿が観察された。湿性皮膚炎を防止するために、創部保護用のフィルムドレッシング材を、尿管開口部を塞がないように周囲の皮膚に貼り付け、抗菌クリームを塗布した。術後から退院後の再診までの二週間にわたってフィルムドレッシング材による皮膚保護を実施し、状態を評価した。これらの皮膚保護の結果、湿性皮膚炎やドレッシング材に起因する皮膚炎といった合併症は全く観察されず、尿管開口部と皮膚は良好に維持された。

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© 2019 日本動物看護学会
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