抄録
一般家庭で飼育されているイヌ202頭を対象に、歯垢/歯石の保有率や歯肉炎の罹患率とそれらの程度の指標となる歯垢/歯石スコアおよび歯肉炎スコアについて、いくつかの要因とともに簡易な方法を用いて評価した。その結果、全体の歯垢/歯石保有率は94.6%であり、3歳齢以下の群 (83.0%)に比較して10歳齢以上の群(100%)は有意に高かった。歯肉炎罹患率は全体で70.8%であり、3歳齢以下の群 (22.6%)に比較して他の年齢群はいずれも有意に高かった(76.2~95.2%)。歯垢/歯石スコアおよび歯肉炎スコアも、3歳齢以下の群に比較して他の年齢群はいずれも有意に高かった。以上の状況は、歯周病を予防するための日常的なデンタルケアが十分にはなされていないことを示唆するものである。今後、飼育者に対してデンタルケアの重要性を再教育する必要があり、その一端を担う愛玩動物看護師が果たすべき役割は大きい。