敬心・研究ジャーナル
Online ISSN : 2434-1223
Print ISSN : 2432-6240
新幼稚園教育要領・保育所保育指針等における「規範」
―領域「人間関係」とのかかわりで―
安部 高太朗吉田 直哉鈴木 康弘
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2018 年 2 巻 1 号 p. 33-44

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抄録

 本稿の目的は、平成29年改訂(定)の新要領・指針等において「規範」がどう位置づけられているかを、特に領域「人間関係」とのかかわりに着目して明らかにするものである。

 新要領・指針で「規範」と共起性が高い語には「主張」・「折り合い」・「芽生え」がある。領域「人間関係」における「規範」の用例からは、規範意識を芽生えさせることを、集団のなかで他者と関わり、そのなかで自己調整をする(折り合いを付ける)こととして観ていることがわかる。

 新要領・指針で、「友達」はその用例からすると、折り合いを付けねばならない「対峙者」として捉えられる。新要領・指針の道徳性・規範として言われているのは、他者の要求に接したら自己の欲求を引っ込めること(自己抑制)である。領域「人間関係」とのかかわりで言えば、自己主張と自己抑制の均衡が自己抑制へと傾いたコミュニケーションの型が、「規範」として内面化がされる危険性を孕んでいる。

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© 2018 学校法人敬心学園 職業教育研究開発センター
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