敬心・研究ジャーナル
Online ISSN : 2434-1223
Print ISSN : 2432-6240
保育学言説における〈保育―教育〉のコントラスト
―保育内容総論・保育課程論のテキスト分析から―
鈴木 康弘吉田 直哉安部 高太朗
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2018 年 2 巻 1 号 p. 45-56

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抄録

 本稿の目的は、保育内容総論等のテキスト(教科書)を対象として、「保育」と「教育」に関する言説がどのような関係性の下に記述されているのかを、KHコーダーを用いたテキスト分析の手法を用いて明らかにすることである。

 対象テキスト群のなかで、「教育」と「保育」は、は共に対象テキストにおける頻出語であり、両者には共起関係が認められる。対象テキスト群において「保育」に関する言説は、「教育的ではないもの」といったような「否定形」として構築されている。ただし、同時に「否定形」で語られる差異は、小学校への「接続」の中で解消されるべきものとして語られており、両義的な性格を有していることが明らかになった。特に、「領域」という概念は、〈対比〉と〈接続〉という二重の意味が付加されており、保育の〈独自性〉を示すと同時に、生活や体験、遊びを通じた小学校以上の教育との〈連続性〉を示すものとして語られている。

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© 2018 学校法人敬心学園 職業教育研究開発センター
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