本稿は、協働型園内研修論における保育者の専門性観を、子ども理解と人間関係という二つの観点から、批判的に検討したものである。協働型園内研修論は、写真や映像などのメディア、エピソード記録などを利用しながら、子どもの姿を語り合うこと、保育者同士の対話を重視することに特徴がある。しかしながら、協働型園内研修論の課題として、保育者の子ども理解が多元化・多角化されたとしても、適切な保育方法や教材の選択がなされるとは限らないこと、さらには、職場の人間関係の改善が、研修の副次的な目的として掲げられているものの、これらを改善するための研修の成否は、職場の人間関係に依存してしまうことなど、いくつかの問題点について指摘した。そして、これらの課題を乗り越える一つの方略として、これらの協働型園内研修の方法論を、「理論」の学習にも拡大することで、保育をめぐる法律・制度、発達心理学の諸理論等のいわゆる理論・知識習得型の学びが深まる可能性を提示した。