2019 年 3 巻 2 号 p. 91-99
本稿の目的は、現代における難民や労働者を含む、定住外国人の受け入れに関わる原初的な事例として、インドシナ難民の受け入れに関するわが国の対応と支援の実際について、各種文献より明らかにするものである。
インドシナ難民の受け入れは、定住受け入れ枠の拡大とともに公的支援ばかりではなく、日本赤十字社や宗教法人等を中心とした民間支援が拡大していくことになる。わが国のインドシナ難民受け入れに関わる施策等の変遷とともに、公的支援および民間支援の実際についてまとめ、考察を加えた。
今日のわが国の難民受け入れや、国外退去処分を受けた外国人の長期収容の問題、定住外国人労働者の増加など、「人権」等に即した支援を志向するうえで、インドシナ難民受け入れに関する事例を、あらためて検討すべきであろう。