2021 年 5 巻 2 号 p. 47-53
在宅、地域における高齢者を対象にして、身体能力と、認知、心理機能との関連性を調べ、80歳以上群と80歳以下群との差異を比較検討した。市民農園で野菜作りをしている人、地域シルバー人材センターに所属し駅で自転車管理の仕事をしている人、近隣のマンション住まいの人など、計30名(平均年齢76.5±6.04歳)をアンケート調査の対象とした。アンケート内容は身体能力として、老研式活動能力指標(老研)、モーターフィットネススケール(Motor Fitness Scale MFS)、認知機能としてミニメンタルステート検査(MMSE)、心理的状態として視覚アナログスケール(VAS)を用いて、主観的健康度、生活満足度、生きがい感、人間関係の満足度について主観的評価をした。その結果MMSE は他の機能との相関はなく、身体能力と精神状態との関連はほとんど認められなかった。主観的健康感は生きがい感からの影響が強く、人間関係の満足度は生活満足度、主観的健康感、老研式活動指標からの影響があった。生きがい感は主観的健康感、と生活満足度からの影響があった。80歳以上群と80歳未満群の比較では、80歳以上群は80歳未満群より心理状態の自己評価が高かった。