カミングアウトとは、異性愛者でないことや生まれて時に与えられた性別への違和感を表明することとされている。しかし、2015(平成27)年一橋大学法科大学院生へのアウンティングによる自殺でも明らかなように肯定的側面より、社会的ないじめや偏見という形で疎外、排除される対象として否定的な側面が増大する可能性を孕んでいるものと言える。そのため、先行研究を整理することで、性的マイノリティの個人としての生きづらさは、カミングアウトすること、しないことでどのように変化するのか明らかにする。
事例では、性的マイノリティの性的指向や性自認で苦しんだことを起点として「生きる意味」を見出すことができた。今後は、多様性を包摂する社会の在り方を制度面、カミングアウト前後の支援方法、支援体制について研究を深めたい。