本稿は、ドイツにおいて、医学健康科学領域の職業養成・資格が、これまで高等教育には含まれていなかった職業継続教育から高等教育領域へと推移してきた「高等教育化(ドイツ語では「Akademisierung」)」要因を明らかにする。
医学健康科学領域の職種の高度化は、資格の階層性と連動している。養成機関の教員・指導者やその職種を統括・管理する者の養成・資格への需要がドイツには存在した。専門大学における養成の移行は、こうした需要への対応として位置づけられよう。また、ヨーロッパにおける国を超えた労働者の移動がこうした高度化を促進した。
日本でも看護師、理学療法士等の医学健康科学領域の職種は、専門学校、大学、あるいは専門職大学で養成されている。資格の階層化を含め、資格と実態を整合させていくことが必要である。