2023 年 7 巻 1 号 p. 11-17
脳血管障害の対象者(以下、CVA 者)には、発症直後からの緩和ケアの介入必要性があると指摘されている。緩和ケアにおける究極の目標は個人毎に生じているさまざまな苦痛の除去によるQOL の向上にある。本研究の目的はCVA 者のための疾患特異的QOL評価にはスピリチュアリティに関する項目が含まれているかを内容分析によって明らかにすることである。
方法はCVA 者のための疾患特異的QOL 評価とWHO の作成したWHOQOL 評価の「6精神性/宗教的/信念」 (Ⅵ Spirituality/religion/personal beliefs)を比較することとした。その結果、Stroke-Specific Quality of Life には「自己の危機に関連する語」やスピリチュアリティの「関係性」、「自律性」に関する語が含まれており、Stroke Impact Scale3.0 には、これらに加えて逆転項目による、「自己の向上に関連する語」が含まれていた。以上から、CVA 者の疾患特異的QOL 評価でスピリチュアリティを捉えるにはこれらの評価の特徴を生かした活用が望ましいと考えられた。