本稿は、農村地域を含めて都市化が進行しつづける現在、地域福祉研究が「都市」をどのように捉えてきたのかを、論文レビューを通して明らかにするものである。論文レビューの対象期間は、1985年から2023年である。1980年代半ば以降、それ以前の一体的・総体的な都市像とは異なり、内部に多様性をはらむ、セグメント化されたシステムとしての都市像が示され始めた。一方で、都市に対する規範的な見方も残存しつづけている。2010年以降、動的に生成される非同一的な都市の特性を把捉する試みは充分な成果を生み出せておらず、都市認識は固定化・陳腐化している状況がうかがえた。