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論文
オリゴグアニル酸の鋳型指示生成反応に対する生体アミノ酸の影響
川村 邦男蔵之上 和博
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2003 年 31 巻 3 号 p. 188-200

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抄録

ポリシチジル酸鋳型(poly(C))存在下におけるグアノシン5'-モノリン酸2-メチルイミダゾリド(2-MeImpG)からのオリゴグアニル酸(oligo(G))の生成反応(鋳型指示反応)に対する20種類の生体必須アミノ酸の影響を初めて調査した.oligo(G)の生成量を3ないし7日間後に分析した結果,L-HisとL-Tyrを加えた場合に生成率は減少したが他のアミノ酸はあまり影響を与えなかった.鋳型指示反応にL-Hisを添加した場合には2-MeImpGが急速に減少しoligo(G)の生成が減少した.また,poly(C)が存在しない条件下での2-MeImpGの減少速度もL-Hisによって加速されることを見いだし,従って鋳型指示反応のHisによる阻害効果は2-MeImpGの加水分解の促進による.2-MeImpGの加水分解の促進はL-HisとD-Hisのどちらでも観測されたが,この反応はおおむね2次反応に従った.一方,種々の遷移金属イオンとアミノ酸とを含む溶液中では鋳型指示反応はかなり阻害された.以上の結果に基づいて核酸とアミノ酸の化学進化の関係について考察した.

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© 2003 生命の起原および進化学会
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