抄録
新燃岳は2011年1月から活動が活発化し、現在でも噴火活動が継続中である。本発表では、新燃岳の噴火に伴う傾斜変動を広帯域地震計の記録から得ることを試みた。新燃岳は2010年にも数回、微噴火しており、その微噴火と今年1月以降の噴火の前に長周期のシグナルが火口付近の広帯域地震計で確認された。長周期のシグナルは水平成分に卓越していることから傾斜変動を捉えていると考えられる。そこで、広帯域地震計の傾斜に対する応答を確認するために、試験を行った。その結果、傾斜変動に対して上下成分は感度が無いことが確認でき、そして、応答関数との畳み込み積分で水平成分が記述できることが解った。この方法を用いて、先の噴火に伴ったシグナルから傾斜変動を抽出した結果、噴火前に山上がりの傾斜変動が生じていることが解った。