抄録
(1) GSH,メルカプトエタノール,Cys,ホモシステイン,DTT,BALの中からDAsAの還元剤を検索し,DTTが最も優れていることを見いだした.DTTによるDAsAの還元は,pH6.5〜8.0,3〜37℃の条件下で10分間とすれば十分であった.またDAsAを還元したのちの過剰のDTTはNEMを添加することにより,その還元力を除去することができた. (2)DTTとNEMを用いた還元法をDP法に応用し,血漿中AsAとDAsAの分別定量法を検討し,簡便でしかもDNPH法に匹敵する特異性を持つ測定法を得た.(3)尿中にはDP法に影響を与える還元物質が多量に存在するので,これらをTCA酸性下にノーリットを用いて吸着除去した.この際,試料中のAsAは酸化されてDAsAとして(DAsAはそのままDAsAとして)濾液中に回収されるので,Na_2HPO_4を加えて中和したのち,DTT-NEMシステムでAsAに還元してDP法で測定した.本法では総Cのみ測定されるが従来法に比べて著しく特異性が高くなった.