ビタミン
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野菜中のカロチンの定量に及ぼすリポキシゲナーゼの影響
上野 順士前川 昭男鈴木 隆雄
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1982 年 56 巻 2 号 p. 83-89

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抄録
従来から行われている野菜中のカロチン測定方法ではブランチングされた野菜のカロチン含量が新鮮物の値の120〜230%と高い測定値を示すものがある.このように差の生ずる原因はブランチングにおいて可溶性成分が溶出することによる場合と,リポキシゲナーゼが野菜からカロチンを含む色素を抽出する操作中に作用し,カロチンが二次的に分解することによる二点であった. 著者らはリポキシゲナーゼを含む野菜(新鮮物)に対するカロチン測定法として,(1)加熱処理(ブランチング,電子レンジ加熱処理)しリポキシゲナーゼを失活させたのち抽出する方法,(2)抗酸化剤を加え磨砕しリポキシゲナーゼの影響を除く方法,すたわち,5mm角に細断した試料10gにピロガロール1gを添加し,充分に磨砕したのち,藤田のメチルアルコールとベンゼンを用いる抽出法やAOAC法のアセトンとn-ヘキサンの混液を用いる抽出法などでカロチンを含む色素を抽出する方法(FlG. 6)を考案した. 加熱処理方法としてのブランチングの場合,ブランチング操作中に可溶性成分の溶出があり,測定値を重量補正しなければならない.なお,加熱処理の場合カロチンの熱分解等が考えられる.したがって,リポキシゲテナーゼのカロチン測定操作中の影響を除く方法としては,抗酸化剤を加え磨砕する方法が最も良いと判断した.
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© 1982 日本ビタミン学会

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