抄録
ラットに18%ダイズタンパク質 B_<12> 欠乏飼料を給与,pair-feeding で90日間飼育し,血漿タンパク質レベル,肝臓 xanthine oxidase 活性,尿中窒素化合物排泄量を測定, B_<12> 欠乏ラットの飼料タンパク質の利用を調べた.B_<12> 欠乏ラット尿中 MMA 排泄量は顕著な増加を示し,肝臓 B_<12> レベルの著減から,ラットの B_<12> 欠乏状態が評価された.B_<12> 欠乏ラットの成長は pair-feeding, ad libitum-feeding の対照ラットに比べ有意な遅延が認められた.血漿総タンパク質,アルブミンレベルは B_<12> 欠乏により pair-feeding の対照に比べ低下したが,尿素窒素レベルは増加を示した.また B_<12> 欠乏ラットの肝臓 xanthine oxidase 活性は低下した.次に尿中質素化合物排泄量は尿素窒素,アラントインおよびクレアチニンいずれも B_<12> 欠乏により pair-feeding の対照に比べ低下することが認められた.以上の結果から,明確な B_<12> 欠乏ラットでは飼料タンパク質の利用の低下が示唆された.また血漿および尿中尿素窒素の変動は飼料タンパク質の利用低下に対する適応と推察された.