ビタミン
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ホタルイカ肝臓中の11-シス-レチノールの単離精製および同定
八木 周治本江 薫川崎 賢一船橋 清早川 清子
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1997 年 71 巻 11 号 p. 531-536

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抄録

ホタルイカの肝脂質の不けん化物をHPLCにより分析したところ、11-シス体と思われる大量のA-OHを検出した。その異性体の型を確定するために単離、精製の方法を検討した。まず、A-OHと大量に混在するChoをn-ヘキサン溶液として-20℃で保持することで析出させて除去できた。その溶液をBio-Beads S X-3カラムに付し、シクロヘキサン・ジクロロメタン(1 : 1)混液によりA-OHを単離した。その画分についてn-ヘキサン・1-オクタノール・2プロパノール(98.74 : 1.2 : 0.06)の移動相を用いたシリカゲル分取HPLCを行い、目的物質を分画した。そして逆相のミニカラムで精製し高純度のホタルイカA-OHを得ることができた。これらの過程でシスートランスの異性化よりA-OHからA-CHOへの酸化が生じやすいことに注意を要した。ホタルイカ肝臓中の不けん化物から単離精製された物質とA-CHOの光異性化で得た標品についてUV吸収、蛍光および^1H-NMRの各スペクトルを測定し、それらを比較することでこの物質を11-シスA-OHであると確定した。ホタルイカ肝臓中のレチノールはほとんど11-シス体として存在した。

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© 1997 日本ビタミン学会

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