笑い学研究
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「いのち」と響き合う笑い
笑いの「最中」をめぐって
井上 宏
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 25 巻 p. 3-16

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抄録
「笑い」という行為は、まず「笑う前」の状態があり、次いで「笑っている最中」の段階がきて、笑い終わって「笑った後の状態」が訪れるという三つの段階で構成される。それぞれの段階における意識の生成・発展を追跡し、どんな意識のありようを示すかを明らかにする。その時の笑いの「呼吸作用」、発声が引き起こす「振動作用」についても言及している。息を吐きエネルギーを消費する(捨てる)活動と息を吸い元気の「気」を生み出す(再生)代謝の仕組みについて論じ、「いのち」の働きについて考える。「いのち」の定義を福岡伸一の「動的平衡」論に依拠しながら、細胞の「分解」と「合成」の同時的進行という「いのち」の流れに、「笑い」の仕組みを重ね合わせて見ることができないであろうか。「笑い」を「いのち」の働きの中に位置づけて考えた試論である。
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