笑い学研究
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噺家の印象を測るものさし
演者の印象評定尺度の作成と印象評定値に観客の特性が与える影響
野村 亮太ヒュース 由美
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 26 巻 p. 29-40

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抄録

落語は手軽におもしろさを体験できる演芸だが、現在は多くの噺家(落語家)がおり、好みに合う噺家を探すのにも手間がかかるようになってきている。従来、芸人の印象の類似性が高いとき、観客がそれぞれの芸人に対して抱く好ましさ(好き・嫌い)には正の相関があることが知られている(野村, 2010)。このため、印象評定は多くの噺家から好みの噺家を見つけ出すために利用できる。この目的のために、本研究では、落語に限らず、人前で話す者としての演者について、より一般的に印象を評定できる評定尺度(Performer's Impression Scale, PIS)を作成した。古今亭文菊師(芸歴16年)の口演時の印象について評定を行ってもらった結果、いずれの下位尺度においても、印象評定値は、聞き手の年齢、性別、落語の視聴経験による差は、ほとんど見られず一貫していた。本研究の尺度は、その応用として、好みの噺家の候補を挙げるサービスの提供に加え、教師や政治家といった人前でパフォーマンスを行う者の印象評定と改善にも用いることができる。

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