抄録
日本には海外から毎年多くの雑草が非意図的に持ち込まれ,農耕地にも侵入・定着し,一部の草種が著しい経済的被害をもたらしている。その背景には,① 穀物飼料の大量輸入に依存する畜産,② 雑草検疫体制の不在,③ 侵入雑草の早期警戒に関する全国情報網の不在,④ 畑作における除草剤選択肢の不足,⑤ 大規模省力化による農業現場の除草圧の衰退,といった複合的かつ構造的な要因が関与している。侵入植物の管理は拡散前の初期防除が最も効率的かつ経済的であるとの観点に立ち,外来雑草による農業問題の現状と,被害の未然防止に向けた今後の課題とそれに対する雑草研究の役割について論じた。