雑草研究
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原著論文
蒸気処理機を用いた耕地雑草埋土種子の死滅技術開発
西村 愛子浅井 元朗澁谷 知子黒川 俊二中村 浩也
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2014 年 59 巻 3 号 p. 167-174

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抄録

中央農業総合研究センターでは,蒸気を利用した雑草の埋土種子死滅技術の確立を目標に自走式蒸気処理機を開発中である。本研究では,1)形状を異にした装置による蒸気処理が地表面種子の死滅に及ぼす影響,2)種子の埋土深度と種子死滅との関係,3)種子の吸水有無と種子死滅との関係,を検討した。1)装置の形状は,処理時の温度の上昇を通じ地表面種子の死滅や休眠打破に影響した。蒸気噴出部(インジェクタ)を気密性の高い保温カバーで覆った装置では地表面温度は最高で95°Cとなった。この処理による地表面種子の死滅率は,マメアサガオで88%,ネズミムギで46%,ハルタデで97%であった。蒸気の気密性が劣り地表面温度が60°Cあるいは84°Cとなる蒸気処理において,マメアサガオ種子の硬実打破が認められた。2)土壌深度5 cmに埋土した上記3草種の種子においては,蒸気による土壌深度5 cm地点の加熱効果が低く,種子の死滅率は高まらなかった。3)吸水させたネズミムギ種子を蒸気処理した(処理時の地表面温度は95°C)場合,種子の死滅率は100%で,乾燥種子と比べ有意に高い値を示した。

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© 2014 日本雑草学会
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