2021 年 66 巻 1 号 p. 11-15
近年,埼玉県の加須市,本庄市において,グリホサート抵抗性とみられるオヒシバが発生しており,問題となっている。現地から採種したオヒシバにグリホサートカリウム塩を132 g a.i./10 a処理するといずれの系統も残草し,抵抗性個体が含まれると考えられた。一方で,グリホサートとは異なる作用機序をもつ除草剤については,供試した剤(ジクワット・パラコート,フルアジホップP,グルホシネート)はすべて有効であり,グリホサートに特異的な抵抗性であると推察された。グリホサート抵抗性を示した個体の遺伝子解析の結果,採種した系統の一つで,グリホサートの標的タンパク質であるEPSPSアミノ酸配列中に日本国内では初確認である抵抗性型の変異(T102I, P106S)が認められた。また,遺伝子配列の差異から,少なくとも2か所以上の複数箇所で独立に抵抗性個体群が進化したものと考えられた。