2021 年 66 巻 3 号 p. 133-140
無人航空機UAV(unmanned aerial vehicle)によるリモートセンシングでは植物群落の高解像度の面的データを経時的に取得でき,雑草群落モニタリングへの応用が期待される。本研究ではUAVで取得した群落表層の分光反射特性から算出した植生指数によってクズ(Pueraria lobata (Willd.) Ohwi)優占群落のLAIを推定し,その推移と空間分布特性を評価した。2018年6~10月に河川敷(40 m × 30 m)のクズ優占群落を対象にマルチスペクトル画像を計5回取得し,オルソモザイク画像を50 cm × 50 cmのグリッドに分割した。3種類の植生指数から各調査日におけるクズ群落のLAIを推定する重回帰式を得た。その結果,10月の推定精度は低かったが(調整済みR2 < 0.2),6~8月では調整済みR2が0.42~0.57の範囲でLAIを植生指数から推定することができた。また,得られた重回帰式から群落のLAIの経時変化を評価したところ,LAIは7~8月に群落中央部で低下し,高い値が集積する箇所は群落中央部から周縁部へと移動していた。この変化は夏季に葉を更新する際,より高次の分枝に新たに葉を展開する過程で生じたものと考えられた。以上のようにUAVで取得した群落表層の分光反射率から,クズ群落の空間分布特性が明らかになった。