2026 年 71 巻 1 号 p. 1-10
鳥取県琴浦町のサイレージ用トウモロコシ圃場において,本州での発生報告の少ない一年生イネ科雑草のツノアイアシ(Rottboellia cochinchinensis (Lour.) Clayton)が普通に見られている。当地域での本種の発生実態および定着の可否に関わる生態的特性について調査を行った。サイレージ用トウモロコシ圃場でのツノアイアシの発生は210圃場で確認され,発生圃場率は33.1%であった。圃場においてツノアイアシの出芽は4月中旬頃から観察され,6月下旬頃から7月下旬頃までに出穂を開始した。トウモロコシの収穫開始時期である8月上旬頃までには,小穂の自然脱落が始まった。ポット試験において,9月に土壌表面に播種した種子は年内の出芽が多く,1.3~36.7%が翌年に出芽した。土壌混和された場合は表面播種よりも種子の生存率が高く,翌年に24.0~57.5%が出芽した。5月3日にポットに定植した個体は7月上旬,7月6日に定植した個体は8月下旬に出穂し,いずれも成熟種子を産したが,9月8日定植個体は11月下旬に出穂に到ったものの,成熟種子は形成できなかった。ツノアイアシは鳥取県のサイレージ用トウモロコシ栽培圃場に定着できる生態的特性を有しており,温暖地において侵入を警戒すべき雑草種と考えられた。