雑草研究
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果樹園の下草, 果樹の枝葉ならびに跡作に及ぼすATA混合剤の影響
植木 邦和榑谷 勝真部 桂
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1963 年 1963 巻 2 号 p. 59-64

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抄録

1. 本研究は, 果樹園における除草剤利用に関する研究の一部として, ATA関係混合除草剤の下草抑制効果, 果樹の枝葉ならびに薬剤の残効が跡作に及ぼす影響について検討したものである。
2. 下草抑制効果については, 広葉雑草の発生の多い園においてはATA・2,4-Dソーダ塩混合剤ならびにATA・TPAソーダ塩混用剤が効果的である。 一方, 禾本科雑草が主体を占める園においてはATA単剤またはATA・2,4-DおよびDPA混合剤がすぐれている。 また, ネザサ, ヨモギなどの発生の多い園ではATA・TPAソーダ塩混用剤, weedazol-TL剤, またはATA・2,4-DおよびDPA混合剤が有効である。
なお, 抑制程度は, 薬量, 散布時期または下草の生育程度, 種類などによつても違いがある。
3. 果樹の枝葉に薬液を散布した場合, 各果樹とも枝梢ならびに葉に反応が現われ, 枝は先端部より枯死し, 葉は徐々に落下するが, その程度は薬剤により各樹種間に差異が認められる場合もある。
4. 跡作に及ぼす影響については, 本実験程度の薬量 (10a当り2kg) であれば, ATA・2,4-Dソーダ塩混合剤は約1ヵ月の効力持続期間があり, 一部逆立発根も認められる。 一方, ATA・2,4-DおよびDPA混合剤においては, その混合割合により残効程度が異なるようである。
5. ATA関係混合除草剤は, 果樹に直接散布しなければ, 果樹園下草抑制にかなり効果的と思われるが, 薬剤の混合, 組合わせ, あるいは果樹園主要雑草の生理・生態的特性などについて, さらに深く究明する必要がある。

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