雑草研究
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除草剤MCCの発芽時地下部処理における水稲・タイヌビエ間の選択殺草性について
荒井 正雄古谷 勝司
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1968 年 1968 巻 7 号 p. 64-68

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抄録

水稲の乾田直播栽培の乾田期間・畑苗代および畑稲の雑草防除に極めて有効な除草剤MCCの土壌処理における適切な処理方法を明らかにするために, 発芽時地下部処理におけるタイヌビエ・水稲間の選択殺草性を究明する数多くの実験を行ない, 次の知見が得られた。
MCCの発芽時地下部処理における水稲・タイヌビエに対する殺草力は根部より幼芽部において著しく大きい。 したがつて殺草作用部位は根部にもあるが幼芽部の方がより大きい。 しかも, 殺草力は幼芽部・根部ともに水稲よりタイヌビエに対して大きく, タイヌビエ>水稲の選択殺草性程度は中~大である。
この選択殺草性の発現部位が幼芽部にあるか根部にあるかという, いわゆる選択殺草性の発現作用部位は, 根部にもあるがその程度は小さく, 主として幼芽部にある。 しかも同じ幼芽部でも, 発芽直後の幼芽より, ある程度伸長した幼芽に処理した方が選択殺草性は顕著である。
以上の関係から, MCCは稲を播種し, 1.5-3.0cmに覆土して後に, 土壌表面に処理するのが最も安全効果的な使用法である。
さらに前報で明らかにしたように, 本剤は土壌処理効果とともに雑草処理効果も極めて大きく, 反面1葉展開以後の稲には薬害が大きいので, その処理時期は播種直後から稲の出芽期までであるが, 本研究によつてこの期間中における土壌処理の安全性を立証した。

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