雑草研究
Online ISSN : 1882-4757
Print ISSN : 0372-798X
ISSN-L : 0372-798X
ヨモギの生理生態およびその防除法に関する研究
第3報 耕地におけるヨモギの life cycle について
伊藤 健次井手 欽也井之上 準
著者情報
ジャーナル フリー

1970 年 1970 巻 10 号 p. 15-18

詳細
抄録

以上の結果を要約すると, 次のようである。
(1) 3cmの深さに植え込まれた地下茎断片の節芽が出芽するまでの日数は, 平均気温10℃以上の2月~10月植え込み区では約20日以内であったが, 10℃以下の1月, 11月および12月植え込み区では30日以上であった。
(2) 7月までの間に出芽した個体はすべて年内 (10月上旬) に開花したが, 8月以降に出芽した個体は翌年10月に開花した。
(3) 新地下茎の発生は, 地上部の大きさが草丈約10cm, 展開葉数約10枚, 生体重2~3gになった頃に起こる。そのために, 4月~10月の間に出芽した個体は約1ヵ月後には新地下茎を発生するが, その他の場合は2~4ヵ月を要する。
(4) 地中をほぼ水平に伸長する地下茎の先端は, 11月下旬~12月上旬頃までの間にほぼ揃って地上へ上向・出芽する。この地下茎の上向・出芽は, 地上部の状態 (開花, 未開花) とは必らずしも関係ないようである。
なお, 地上へ出芽した地下茎の先端はロゼット状態で越冬し, 地下茎の節芽からの個体と同様の life cycle をたどる。

著者関連情報
© 日本雑草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top