雑草研究
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シロザ種子の休眠と発芽に関する研究
渡辺 泰
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1970 年 1970 巻 10 号 p. 19-24

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抄録

(1) シロザの種子は, 開花後15日前後の未熟状態では容易に発芽するが, 成熟がすすむと光発芽種子の特徴が現われた。さらに完熟すると, 光を与えても恒温下では強い休眠を示した。ただし, 光の効果は変温によってかなり代替され, 完熟種子でも明所変温条件では30%以上発芽した。
(2) 種皮による種子の吸水阻害はみられなかった。休眠種子の発芽は, 明所における高濃度酸素により著しく促進されたが, 暗所ではその効果が現われなかった。種子に対し硫酸処理, 発芽孔部の切除処理をすると, 明・暗所とも完全に発芽した。以上の結果から, シロザの種子は光発芽であるとともに, 休眠の主因は種皮の酸素不透性にあると推察される。
(3) 低温処理によって休眠が打破され, 光要求性は著しく低下した。また, gibberellin は 500ppm以上で, kinetin が貯蔵種子の明所発芽にかぎり, それぞれわずかに覚醒効果が認められた。Gibberellin は光代替作用を 1,000ppm で若干示した。さらに, KNO3は前記の2物質に比べ効果が大きく, 明所では10-2M, 暗所では 10-2~10-1M が高い発芽率を示した。

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