1970 年 1970 巻 10 号 p. 40-43
新除草剤G-315の作用機構のオルト位置換ジフェニルエーテル系除草剤のそれとの類似性を, 殺草にあたっての光要求性ならびに移植水稲葉鞘 (身) 褐変現象について, NIPと比較した結果, G-315およびNIPの間で質的な差異をみとめることはできなかった。ただし, G-315の作用力はNIPよりはるかに大きい。両者の化学構造が甚だしく相違しているのに, 作用機構が極めて類似しているのは, 多くの示唆を与えることといえよう。
また, NIPと構造類似の除草剤であっても, オルト位置換のないHE-314 (TOPE) 等にあっては殺草時の光要求性なく, またイネ葉鞘 (身) に褐変を生ずることのないことが再確認された。
したがって, G-315は, 土壌混和処理でも有効であるというNIPとは異なる特性をもってはいるが, これは吸収・移行などの場での性質の相違であって, 作用点における働き方, すなわち作用機構はNIP等の光活性型のオルト位置換ジフェニルエーテル系除草剤のそれと同一であると推定される。