雑草研究
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Phosphoramidothionate 系化合物の除草活性について
綾 正弘深沢 暢泱栗原 一雄岸野 茂雄久米 豊彦
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1973 年 1973 巻 15 号 p. 20-28

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抄録

Phosphoramidothionate を多数合成し, 検討したところ, 除草剤として O-ethyl-O-(2-nitro-p-tolyl)N-isopropyl phosphoramidothionate (amiprophos) が優れた活性を有したので, 本剤の作用性について検討し, 若干の知見をえた。
(1) O-alkyl-O-aryl phosphoramidothionate に高い除草活性を有する化合物が見出された。
(2) 化学構造的に種々検討したところ, アミノ基は mono-alkylamino が有効であった。アルキルは炭素数3以上で有効で, 特にイソプロピルが優れていた。
(3) O-アルキルはあまり活性に影響を与えないが, 低級アルキルが有効であり, 特にエチルの活性が高い。
(4) フェニル基の置換はオルト-位にニトロ基が入ると有効であり, さらにパラ-位に低級アルキル, 低級アルコキシ, ハロゲンが置換されると活性が強化される。
(5) Amiprophos は, 種子の発芽そのものは阻害せずに, 発芽, 発根の伸長をほぼ非選択的に抑制する。主として生長点の分裂細胞組織に作用し, その部分の膨大, 畸形化をもたらす。
(6) 薬剤処理層に植物の地上部および地下部の生長点部分が接触すると顕著な影響を与え, 単子葉, 双子葉雑草に幅広く作用する。したがって, 本剤の選択性は, 播種深度の違いや種子の形態的特徴に起因する位置選択性と見なされる。

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