雑草研究
Online ISSN : 1882-4757
Print ISSN : 0372-798X
ISSN-L : 0372-798X
Amiprophos の土壌中での消長
上山 功夫高瀬 巌富沢 長次郎
著者情報
ジャーナル フリー

1973 年 1973 巻 15 号 p. 28-34

詳細
抄録

有機リン系除草剤 amiprophos〔O-ethyl O-(2-nitro-p-tolyl) N-isopropyl phosphoramidothionate) の土壌中での消長を, 化学的な方法によって研究した。
本化合物は, 表層吸着作用が強く, 土壌カラムによる溶出試験では90%近くが表層から1cm以内に吸着されていた。
土壌中における安定性は, 温度が高いほど減少し, その差は明りょうであった。
滅菌処理により分解が減少し, 土壌の有機質含量が多いほど残存率が低下する, などの事実より, 本化合物の土壌中での分解の主因は土壌微生物によるものであろうと推察された。
ポット試験より, 本化合物は, 水田条件より畑地条件の方がより長く残留することが判明した。
32P-amiprophos による代謝実験から, amino amiprophos, amiprophos oxygen analog, 脱フェニル体, モノエチル体などが検出された。Amino amiprophos は, 水田条件下では多くみられたが, これに反し, 畑条件下ではわずかであった。Amiprophos oxygen analog は, 水田, 畑両条件下で出現したが, その生成量は畑地条件下の方が多かった。
加水分解物については, その生成の様子から, フェニル基の脱落, ついでイソプロピルアミノ基の脱落=モノエチル体の生成なる経路を推定した。

著者関連情報
© 日本雑草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top