雑草研究
Online ISSN : 1882-4757
Print ISSN : 0372-798X
ISSN-L : 0372-798X
水田の緑藻類の生態と防除に関する2, 3の知見
山岸 淳橋爪 厚
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 1974 巻 18 号 p. 39-43

詳細
抄録

(1) 水田には, 単細胞, 群体性, または糸状体の28種の緑藻類があったが, とくに水稲に対して影響の大きい緑藻類は, 浮水雑草のアミミドロとヒビミドロであった。
(2) 水田での発生は, アオミドロとヒビミドロでは2~3年回, アミミドロでは1~2回で, 発生に好適な水温は, 前2者では15~20℃, アミミドロでは22~25℃と考えられる。
(3) アオミドロでは2本の糸状体が細胞ごとに接合して接合子が形成される。アミミドロは3回の無性生殖世代を経過した後, 1細胞2個の接合子を形成する。また無性生殖世代では1細胞1個体の繁殖法をとる。
(4) アミミドロの生育・繁殖にはNとPが必須成分であり, とくにPは繁殖に不可欠な成分である。
(5) アミミドロの繁殖量が多いほど水温・地温の低下が大きく, そのため水稲の分げつの発生が抑制される。
(6) 藻類の発生前, 発生時の薬剤による防除について検討し, 防除の手段を得た。

著者関連情報
© 日本雑草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top