雑草研究
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熟畑化過程における雑草植生の変遷に関する研究
第3報 火山灰黒ボク地帯における雑草群落の平均反応数と土壌酸度との関係
菅原 清康
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1975 年 20 巻 3 号 p. 117-123

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抄録
1) 本研究は, 新潟県村松地区の火山灰黒ボク土壌地帯で求められた雑草草種の土壌酸度に対する強弱の序数を用いて, 地区の異なる県内4地区の同種の土壌に適応させうるか否かについて検討した。
2) 新潟県の金井, 妙高高原, 長嶺, 十日町いずれの地区でも原野, 未熟畑ならびに熟畑には序数を有する草種が多く, 雑草群落の平均反応数間には高度の有意差が認められた。したがって, 村松地区で得られた尺度を適用する妥当性が究明された。
3) 雑草群落の平均反応数を求める場合, 調査地点を多くとれば, 序数を有しない草種や序数を有する草種の個体数, 草種などを考慮しなくともよいように考えられる。
4) 今後, 多数の雑草の序数が決定され, また多数の地域や異なる土壌地帯で, 雑草群落の平均反応数と土壌酸度との関係が究明されれば, それらの成果を総合編成することにより, わが国いずれの地域でも適合できる土壌や気候の指標を作成する可能性があるように考えられる。
5) 本研究を実施した火山灰黒ボク土壌地帯の原野や畑地では, 雑草群落の平均反応数がわかれば熟畑化の程度を判定でき, 逆に土壌酸度がわかれば発生する雑草草種や群落の様相をある程度予知することができ, 雑草防除の対策上益する点がきわめて大である。
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© 日本雑草学会
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