雑草研究
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熟畑化過程における雑草植生の変遷に関する研究
第8報 焼畑農法における雑草植生の変化
菅原 清康
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1979 年 24 巻 2 号 p. 74-80

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抄録
1.本研究は, 山林を伐採し火入れ後の焼畑にソバ・ヒエ・アズキ・ダイズおよびソバ・アワ・サトイモ・ダイズを組み合せて4ヵ年間, 無耕うん, 無肥料, 散播様式で栽培し, 作付体系と収量, 雑草植生ならびに土壌の化学的性質の変化との関係を究明しようとしたものである。
2. 作付体系による4ヵ年間の合計収量については, 熟畑区では試験区間にさほど相異がなかったが, 焼畑区では大差がありSRDB区が10a当たり400kg (熟畑区の51.8%), またGTDB区が1,383kg (熟畑区の50.9%) でともに最高であった。また, 焼畑区ではいずれの作物でも初年度の収量が最高で, 以下経年減少をたどる傾向が認められた。
3. 焼畑区に発生した雑草草種の大部分は伐採時に存在した山野草であったが, 2年目から畑地雑草もかなり発生した。また, 全試験区とも, 初年度は雑草の草種数, 個体数ならびに生草重は僅少であったが, 2年目以後増発し, 特に年次にかかわらず前年にヒエ, アワを作付けした試験区で急増した。
4. 土壌の化学的性質は火入れによって多少良化し, pH (KCI) で0.31~0.36, 置換酸度 (y1) が1.98~2.32, 塩基飽和度が5.30~6.11%程度上昇した。しかし, 年次にかかわらずヒエ, アワを作付けした当年に伐採時の段階近くまで急低下した。これは, それらの作物の吸肥性の強い特性に基因するもののようである。
5. 焼畑全試験区でヒエ, アワを作付けすると土壌酸度が急低下し, これに伴って翌年から急激な雑草の多発が共通して生起した点からみて, この場合における雑草の量的増加は土壌の化学的性質の悪化と密接な関係があり, 元植生に復帰する初期段階ではないかとみられる。
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© 日本雑草学会
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