抄録
日本各地の水田で採種あるいは採取された25系統のイヌホタルイの生育速度, 形態学的特徴, 種子の出芽性およびCNPに対する感受性について比較検討した。
1. 茎数の増加のパターンは, 生育前期に増加の著しい系統, 後期に増加が著しい系統, そして平均的に増加した系統に分けられた。出穂時期は採種地あるいは採取地が南下するほど遅くなる傾向が認められ, 特に北海道の系統の出穂は著しく早かったが, 地理的傾斜は明瞭でなかった。
2. 茎長および苞長は系統により異なったが, 茎長に対する苞長の比率は, 北海道と島根の系統を除き, ほぼ一定であった。また, 種子1,000粒重と小穂長の間には, 比較的高い正の相関係数が得られた。
3. 1系統の種子は10℃の水中に14日間貯蔵しただけで高い出芽率を示したが, 多くの系統の種子は同条件下で56日間以上経過すると高い出芽率を示し, 273日間貯蔵すると全系統が80%以上出芽した。
4. 出芽前処理されたCNP粒剤400g (369, a. i.)/a に対する感受性は系統によって異なったが, 最も感受性の高かった系統でも枯死率は46%, 25系統の平均は13%, 茎葉部乾物重抑制率は66%, 平均は52%であった。他方, ホタルイの枯死率は98%以上, 抑制率は99%以上であった。