雑草研究
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神奈川県におけるミズガヤツリの種内変異と防除上の特性に関する研究
第3報 塊茎形成期の系統間差異
米倉 正直
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1983 年 28 巻 4 号 p. 280-284

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抄録

1. ミズガヤツリの塊茎形成期の究明は防除技術体系組立ての上で重要なことと考え, 県内産22系統を透明プラスチック容器により自然日長下で栽培し, 出穂期等の他特性と関連して塊茎形成期の系統間差異について検討した。
2. 塊茎形成始期は系統により著しく異なり, 最も早い系統 (No. 18) は9月5日で, 最も遅い系統 (No. 4) は9月25日を示し, そのレンジは20日間であった (第2図)。
3. いずれの系統も塊茎形成始期は出穂始期より遅く, その遅延日数は6日間 (No. 11)~38日間 (No. 4) に分布し, 系統間差 (32日間) がきわめて大きかった (第2図)。また, 系統間の出穂始期の早晩と塊茎形成期の早晩との関係はほとんど認められず (両者相関r=0.025, 第3図), 塊茎形成始期と塊茎出芽始期との関係 (r=-0.056, 第4図) や塊茎個体重との関係 (r=-0.345) あるいは塊茎生産数との関係 (r=0.212) は小さかった。
4. 供試系統の出穂始期と塊茎形成始期の関係がほとんどみられなかったことは, 系統間で花穂・塊茎両形成反応の関係が一様でないことを示唆するものと思われ, 暦日上の塊茎形成期の系統間差異とともに, その生態実験や防除試験の実施, ひいては防除技術組立ての面において今後十分検討考慮すべきことと考える。

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