1984 年 29 巻 2 号 p. 147-152
水田雑草 (タイヌビエ, コナギ, タマガヤツリ, ミズガヤツリ, クログワイ, オモダカ, ヘラオモダカ, イヌホタルイ, タイワンヤマイ) の窒素吸収特性について検討し, 次の結果を得た。
1. 混植によって競合関係におかれた場合の窒素吸収力は, コナギ, タイヌビエ, ミズガヤツリで大きかった。また, 窒素吸収量と乾物増加量の関係からみた窒素の利用効率には草種間差があり, タイヌビエ, ミズガヤツリ>コナギ, クログワイ, タマガヤツリ, イヌホタルイ>オモダカ, ヘラオモダカの3群に分けられた。
2. 各雑草がイネに及ぼす影響を施肥量との関係でみると, コナギは少肥条件下でイネへの影響が大きく, タイヌビエとミズガヤツリは多肥による生育量の増加が大きいこと, またタマガヤツリやタイワンヤマイは多肥ではイネによる光遮へいを受けて生長が抑制されることが認められた。また, 雑草群落比は, 施肥条件の違いを捨象して雑草害の指標として有用であった。