雑草研究
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公共育成牧場における主要雑草の発生環境
梨木 守野本 達郎目黒 良平佐藤 健次
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1986 年 31 巻 3 号 p. 221-227

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抄録
草地におけるヨモギ類, フキ, オニアザミ, セイヨウタンポポ, イタドリ, 及びメヒシバの発生環境を1,236の牧場の悉皆調査結果を用いて解析した。解析の方法は牧場の平均気温, 降水量, 牧場の草地の土性, 傾斜度, N施肥量, 及び放牧圧の6項について疫学的手法を用いて行った。結果は次の通りである。
1) 雑草の発生の多い環境は, ヨモギ類は低温, 少雨, N施肥量の多い, 放牧圧の高い条件と考えられる。フキ, セイヨウタンポポ, オニアザミも低温, 少雨の条件で多く, さらに前二者は緩傾斜で, 放牧圧の低い草地に, オニアザミは平坦で200~500C. D. の放牧地に多い特徴がある。また, イタドリはN施肥量が多めの草地に多いと推定された。メヒシバは高温, 多雨の気象条件下でN施肥量が少ない草地にもかかわらず放牧圧の高い草地で発生が多いと推定された。
2) すべての雑草で平均気温, 降水量がその発生環境として大きな位置を占めていた。さらに, フキ, セイヨウタンポポ, メヒシバは傾斜度, 放牧圧が, また, オニアザミは傾斜度が, イタドリはN施肥量, 放牧圧が発生に関与する重要要因であった。
3) 雑草対策として, 自然立地条件からその雑草発生の危険性が高いと予想される牧場はそのことを十分に認識した上で, 適切な草地の利用・管理対策が要求される。
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© 日本雑草学会
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