雑草研究
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草地の雑草管理に関する研究
I. 雑草の発生が新播草地における牧草の個体密度および分布に及ぼす影響
梨木 守野本 達郎目黒 良平
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1987 年 32 巻 1 号 p. 25-29

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抄録

新播草地における雑草の発生が牧草の密度および個体の分布状態に及ぼす影響を解析した。オーチャードグラス単播草地 (5m×3m) に, 草地の強害雑草である多年生のエゾノギシギシと一年生のメヒシバの種子を, 前者は草地造成時に同時播種, 後者は造成後翌春に追播し, 人為的に発生・繁茂させ, 雑草害をオーチャードグラスの生産量, 密度および個体の分布状態の関係から解析した。結果は, 以下の通りである。
1. エゾノギシギシ, メヒシバの発生・繁茂はオーチャードグラスの生産量と密度を低下させた。また, その程度は, エゾノギシギシがメヒシバより大きいと推定された。
2. エゾノギシギシ, メヒシバの発生・繁茂はともにオーチャードグラスの個体を集中分布化させ, 草地の植生維持に不安定さを招くと考えられた。
3. 以上のことから, 新播草地における雑草の発生・繁茂はオーチャードグラスの生産量の減収だけでなく, 密度および個体の分布状態に悪影響を及ぼす。とくに, 密度の低下と集中分布化は, 今後の雑草侵入を加速させ, 草地の永続的生産性を早く損なうものと推定される。

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