雑草研究
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エゾノギシギシの防除に関する生態学的研究
第5報 窒素施肥レベルがエゾノギシギシの生育および体内無機成分におよぼす影響
小林 聖村山 三郎小阪 進一
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1987 年 32 巻 1 号 p. 30-37

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抄録

牧草地の強害雑草であるエゾノギシギシの防除法の基礎資料を得るために, Age を異にする本雑草を窒素施肥レベルを変えてポット栽培し, その生育および体内無機成分にいかなる影響をおよぼすかについて検討した。
1. 草丈は, 春播き, 秋播きおよび株植えの3区とも無窒素区で顕著に劣った。N施用区では, 春播き区は区間に大きな差異はみられなかったが, 秋播き区はN 4g/ポット (1/2,000a) 区で優り, 株植え区はN 8g区がやや劣る傾向にあった。
2. 葉数は, 窒素施肥の処理間差が顕著であった。すなわち春播き, 秋播きおよび株植えの各区とも無窒素区で劣り, ついでN 1g区でもやや劣った。とくに春播き区および秋播き区の無窒素区は窒素施肥区に比較して顕著に劣った。また各 Age ともN 4g区で最もすぐれる傾向を示した。
3. 生草重は, 地上部重 (葉重+茎重) において, 春播き区および株植え区では窒素の施肥量が増すにともない増加したのに対し, 秋播き区ではN 4g区まで増加したが, N 8g区でやや減少した。地下部重において, 秋播き区でN 2g区をピークに山形の値を示したのに対し, 春播き区および株植え区では無窒素区でやや減少したものの, ほかの処理区には大差はなかった。
4. 乾物重は, 地上部重において, 3区ともN 4g区まで窒素の施肥量が増すにともない増加し, N 8g区でやや減少した。地下部重において, 秋播き区でN 2g区をピークに山形の値を示したのに対し, 春播き区および株植え区では無窒素区でやや劣ったものの, ほかの処理区はほぼ類似した値を示した。
5. 無機成分の含有率は, 窒素の施肥量の違いによる区間の差異はみられたが, Age による顕著な差は認められなかった。
6. 無機成分の含有量は, 秋播き区の根部において各要素量とも春播き区および株植え区に比較して処理間の差が大きい傾向にあった。
以上のことから, 窒素施肥がエゾノギシギシの生育および体内無機成分におよぼす影響は顕著なものがあり, しかも本雑草の Age によっても反応の異なることが示された。

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