畑地用除草剤ペンディメタリンの土壌中での主要な減衰要因と考えられる土壌微生物による分解について調べ, 以下の結果を得た。
1. ペンディメタリン粒剤を処理した畑地圃場の土壌から10菌株の土壌細菌を分離し, これらの細菌のペンディメタリンに対する分解能を調べたところ, 3菌株 (P-1, P-3およびP-e菌) に分解能が認められた。
2. これら3菌株による無機塩液体培地中でのペンディメタリンの分解は顕著で, ペンディメタリン5ppmを添加した培地中で40日間培養を行うと, ペンディメタリンの残存率はP-1菌で35.1%, P-3菌で9.8%およびP-e菌で12.6%であった。
3. GC測定で分解代謝物と考えられる4個の新たなピークが認められた。これらをGC-MSで測定した結果, ニトロ基の還元物, ベンズイミダゾール化合物そしてメチル基またはプロピル基の水酸化物2種が推定された。このうちニトロ基の還元物とベンズイミダゾール化合物は3菌株に共通の代謝物として認められたが, 水酸化物はP-3菌においてのみ見られた。
4. 主要な細菌学的性質の調査から, P-1およびP-3菌は Bacillus sp. であり, P-e菌は Alcaligenes sp. と推定した。