雑草研究
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除草活性を有する4-ピリドン-3-カルボン酸アミド誘導体の研究
第1報 水田条件における除草活性と構造活性相関
森島 靖雄長部 広和後藤 幸久正本 和久八木原 煕
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1990 年 35 巻 3 号 p. 273-281

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抄録

除草剤としてまったく新規な構造を有する2,6-ジメチル-4-ピリドン-3-カルボン酸アミド誘導体について, 水田強害草であるタイヌビエに対する除草活性と移植イネに対する薬害を指標に, 水稲用除草剤としての最適構造の検討を行った。
1) 温室内ポット試験の結果から, ピリドン環の3位の置換基としてはカルボン酸アニリド, 1位の置換基としてはベンジル基が, 除草活性と薬害の両面から最適であ多と考えられた。アニリド部分のベンゼン環への置換基の導入は, 置換基の種類, 置換位置に関係なく除草活性を低下させるが, ベンジル部分のベンゼン環にはパラ位へめ置換基の導入が除草活性の向上に有効であり, 特た4-CH3置換体はイネに対する薬害も小さいことが認められた。
2) 1-ベンジル誘導体のタイヌビエに対する除草活性を室内試験により検定し, ベンジル基のベンゼン環の置換基効果に関して HANSCH-FUJITA 法を用いた定量的構造活性相関解析を行った。その結果, 除草活性は置換基の立体的効果 (Es値) によって支配されていることが示唆された。すなわち, メタ位, 特にオルソ位への置換基の導入は除草活性を低下させるが, パラ位の置換基には最適Es値が存在し, その値と近似する4-Cl置換体および4-CH3置換体が最も高い除草活性を示すことが判明した。
3) 除草活性および移植イネに対する薬害から, 最終的に4-CH3置換体 (1,4-ジヒドロ-2,6-ジメチル-1-(4-メチルフェニルメチル)-4-オキソ-N-フェニル-3-ピリジンカルボキサミド; コード No. DLH-0213) を選抜し, その殺草スペクトルおよび生育ステージの異なるタイヌビエに対する除草活性を検定した。DLH-0213は出芽前から1.5葉期までのタイヌビエに除草効果が高く, カヤツリグサ科雑草にも生育抑制効果を示し, 水田除草剤として期待できる結果が得られた。

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