雑草研究
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除草活性を有する4-ピリドン-3-カルボン酸アミド誘導体の研究
第2報 2', 6'-ジ置換アニリド類の畑地除草活性と生理作用
森島 靖雄長部 広和後藤 幸久正本 和久八木 原煕
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1990 年 35 巻 3 号 p. 282-289

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抄録

4-ピリドン-3-カルボン酸2', 6'-置換アニリド類について, 畑地条件におけるイネ科雑草および広葉雑草に対する出芽前土壌処理除草活性と, 代表的な畑地作物であるトウモロコシとダイズに対する薬害を指標に, 畑地除草剤としての最適構造の検討を行った。また, その結果得られた最適化合物 (コード No. DLH-1777) の生理作用についても合わせて検討した。
1) 温室内ポット試験の結果から, アニリド部分のベンゼン環上の置換基としては2, 6-ジエチル, ピリドン環の1位, 2位および6位には直鎖アルキル基, 5位にはメチル基やハロゲン原子の導入が, イネ科雑草および広葉雑草に対する除草活性の上昇に効果的であった。
2) 高い除草活性を示す誘導体について, 出芽前土壌処理および茎葉処理における除草活性および薬害を検討した。除草活性は茎葉処理よりも土壌処理において高く, ダイズに対しては褐変症状を主体とする強い薬害を示したが, トウモロコシは比較的耐性であった。
3) 除草活性およびトウモロコシに対する薬害から判断して, 最終的に5-ブロモ-N-(2, 6-ジエチルフェニル)-1, 4-ジヒドロ-1, 6-ジメチル-4-オキソ-2-プロピル-3-ピリジンカルボキサミド (コード No. DLH-1777) を選抜し, 生理作用を検討した。DLH-1777はジフェニルエーテル系や環状イミド系除草剤などと同様に, 活性発現に光を必要とする光要求性除草剤であると考えられ, 茎葉処理におけるDLH-1777の褐変作用のメカニズムは, 4級アンモニウム系除草剤の paraquat とは異なることが判明した。

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