中国黄土高原半乾燥地域の放牧地では羊の過放牧により植生が減少し, 裸地が拡大する傾向にある。筆者らは放牧地として利用されている丘陵斜面に6年間放牧禁止区を設けて植生を調査した。また裸地化した斜面の植生回復を目的として231種の雑草を導入し, その中から有用草種を選抜した。植生調査の結果では, 調査区内の出現種数は禁牧区北斜面>禁牧区南斜面>放牧区北斜面>放牧区南斜面の順に多かった。禁牧区北斜面に出現した草種はキク科, シソ科, ムラサキ科, トウダイグサ科, ヒメハギ科, ハマビシ科, マメ科, バラ科, ユリ科, カヤツリグサ科, イネ科の11科24種であった。一方, 植生回復への導入種として現地の気候と土壌に対する適応性の可能性が認められた草種はキク科, ムラサキ科, マメ科, イネ科の4科28種であった。