雑草研究
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水田除草剤ピリブチカルブの殺草特性, 薬害および土壌中の移動性
佃 和明村上 充幸森中 秀夫続木 建治一前 宣正近内 誠登竹松 哲夫
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1993 年 38 巻 3 号 p. 175-181

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抄録

新規水田用除草剤ピリブチカルブの主要水田雑草に対する殺草特性および稚苗イネに対する作用について検討した結果, 以下のことが明らかになった。
1) ピリブチカルブは発芽期湛水土壌処理において, タイヌビエ, コナギ, タマガヤツリなどの水田一年生雑草に対して優れた殺草効果を示した。
2) タイヌビエに対しては, 発芽期~2葉期処理において高い殺草効果を示した。イヌホタルイに対しては, 発芽直後においてのみ殺草効果を示した。
3) 土壌表面から0~2cmの, いずれの発生深度のタイヌビエに対しても高い殺草効果を示した。イヌホタルイには土壌の表面から発芽する個体にのみ殺草効果を示した。
4) 稚苗イネの植え付け深度を変えて薬害を検討した結果, 置き苗の様な極端な状態では薬害を生じたが, 深度1cmの浅植え状態でも薬害を示さなかった。通常の移植条件の稚苗イネには, 薬害を生じる可能性が低いと考えられた。
5) ピリブチカルブの土壌中の移動性は極めて小さく, 土壌表層に吸着して強固な薬剤処理層を形成しているものと考えられた。

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