雑草研究
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エゾノギシギシの定着に及ぼすペレニアルライグラスの播種密度の影響
梨木 守目黒 良平須山 哲男
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1993 年 38 巻 3 号 p. 205-213

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抄録

ペレニアルライグラスの播種密度の違いが草地更新時のエゾノギシギシ実生の定着に及ぼす影響を調査した。
1) ペレニアルライグラスの播種量1,000g/a, 2,000g/aの高密度播種区では, 牧草播種時に発生したエゾノギシギシの実生個体の密度が, 翌春の草地の利用開始までのペレニアルライグラスの定着期に大きく減少した。また, 利用開始後3年目の春までの草地の利用期でもエゾノギシギシの個体密度は低く, 生育量も少なく経過した。
2) 高密度播種区ではペレニアルライグラスの初期生育が旺盛で, 草高が高く, 生育量の多い牧草群落が播種後早期に形成された。この群落下ではエゾノギシギシの実生個体の生育は光競争で抑制されると考えられた。
3) エゾノギシギシの発生は牧草の定着期に集中するため, この期間に定着を抑えれば, その後の草地の利用期においてもエゾノギシギシの急激な繁茂を抑えることが可能である。
これらのことからペレニアルライグラスの高密度播種は草地更新時のエゾノギシギシの定着を抑制する一手段として期待できる。

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