雑草研究
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人工酸性雨とオゾンの暴露が数種雑草および農作物の可視被害の発現に及ぼす影響
大黒 俊哉根本 正之野内 勇
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1993 年 38 巻 3 号 p. 223-229

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抄録

酸性雨およびオゾン (O3) の複合暴露が可視被害の発現に及ぼす影響を明らかにするため, 酸性雨に対して比較的感受性の高い8種の雑草および農作物を対象に暴露試験を行い, 雑草による指標化の可能性を検討した。自然光型チャンバー内で4段階の濃度レベルのO3を3日間暴露した後, 5段階のpH濃度に設定した酸性溶液を3日間散布し, 可視被害面積率を測定した。
一部の種では0.10ppm以上のO3暴露によって可視被害が発現した。被害部位は酸性雨散布によって拡大する傾向を示したが. O3×酸性溶液の交互作用は認められなかった。O3暴露で可視被害がみられなかった葉部でも, pH 2.0の酸性溶液散布によって急激に被害面積が増大する傾向を示した。O3および酸性溶液の主効果はほとんどの種で有意であったが, 交互作用は一部の種を除いて認められなかった。チヂミザサ, コブナグサ等では, O3暴露によってより高いpHでも被害面積率が増加する傾向が認められ, O3ストレスは酸性雨の可視被害にある程度影響を及ぼすことが示唆された。しかし, 現在程度の酸性雨およびO3の濃度レベルでは短期的な暴露によって可視被害が発現する可能性はほとんどないと考えられた。

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