雑草研究
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スルホニルウレア系水稲作用除草剤アジムスルフロンとベンスルフロンメチルとの混用による除草効果とその変動要因
白倉 伸一伊藤 健二Stephen K. GeeAldos C. Barefoot相沢 宏保
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1995 年 40 巻 1 号 p. 29-38

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抄録
新規水稲作用除草剤アジムスルフロンのベンスルフロンメチルとの混用による除草効果と, これに影響を及ぼす各種環境要因について, 検討した。
アジムスルフロンは, ベンスルフロンメチル (BSM) と同様, 植物のアセト乳酸合成酵素に高い阻害活性を示した (Table 2)。温室内ポット試験では, 水田の広葉雑草およびカヤツリグサ科雑草に対して高い除草効果を示した。特に, 6g a. i./haという低薬量では, 一年生広葉雑草に対しての除草効果は, 低下したものの, 多年生およびカヤツリグサ科雑草, 特に, ミズガヤツリ, クログワイ等, 多年生カヤツリグサ科雑草に対して, BSM以上の高い除草効果を示し, 水稲への安全性も高かった (Table 3)。試験管に石英砂を詰め, これにアジムスルフロンまたはBSMの水溶液を加え, 催芽した水稲およびミズガヤツリを生育させたところ, アジムスルフロンは, 水稲に対してはBSMと同程度の生育抑制作用を示したのに対し, ミズガヤツリに対しては, BSMより高い生育阻害作用を示した (Fig. 3)。このことは, アジムスルフロンが水稲とミズガヤツリとの間で, BSMより高い生理生化学的選択作用性を有することを示唆している。一方, アジムスルフロン6g a. i./haと, 低薬量のBSM (薬量24または36g a. i./ha)とを混合して, 温室内ポット試験に供試したところ, 水稲への安全性は確保しながら, 一年生広葉雑草を含む広葉および, カヤツリグサ科雑草に対して高い除草効果を示した。特にミズガヤツリ, クログワイに対しては, BSM51あるいは75g a. i./haよりも高い除草効果を示した (Table 4)。
アジムスルフロン6g a. i./haと, BSM30g a. i./haとの混用は, コナギ, イヌホタルイ, クログワイに対して安定した残効性を示し, 漏水, 田面水流亡, 低温の各条件下においても, 主要な一年生雑草および多年生雑草に対して, その除草効果は低下しなかった (Fig. 4, 5, 6, Table 5)。
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