雑草研究
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湛水深の増加に伴う数種水田用除草剤の選択性の変動
小笠原 勝朴 載邑昆布谷 忠司竹内 安智近内 誠登
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1996 年 41 巻 1 号 p. 24-30

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抄録
薬剤処理1, 24, 48, 96および192時間後に湛水深を2cmから10cmに増加させた場合の水田除草剤の移植水稲とタイヌビエ間の選択性をガラス室内のポット試験により調べた。移植水稲に対するテニルクロール (300g/ha) とピラゾスルフロンエチル (100g/ha) の薬害は, 薬剤処理1および24時間後に湛水深を2cmから10cmに増加させた場合に著しく低下したが, ビフェノックス (1,000g/ha) の薬害は上昇した。出芽前および2.5葉期のタイヌビエに対するテニルクロール (50g/ha) の除草効果は, 湛水深を変化させてもほとんど変動しなかったが, ピラゾスルフロンエチル (10g/ha) とビフェノックス (125g/ha) の除草効果は薬剤処理1および24時間後に湛水深を2cmから10cmに増加させた場合に上昇した。以上の結果から, これらの水田除草剤の移植水稲に対する薬害とタイヌビエに対する除草効果は, 湛水深の変化に伴い大きく変動することが明らかになり, テニルクロールとピラゾスルフロンエチルは薬剤処理後の早い時期に湛水深を浅水から深水に変えることにより, ビフェノックスは浅水条件で移植水稲とタイヌビエ間において最も高い選択性を示すことが示唆された。
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© 日本雑草学会
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